コラム『自然+α』Ⅱ-①

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第4回:ヒトはなぜ共生菌を頼りにする進化を選んだのか?

植物と菌根菌の共生関係が、実はヒトを含む動物の進化や健康にも深く関わっていることをご存知ですか?今回は、自然界の見えないつながりがどのようにヒトの進化に影響を与えてきたのかを探ってみましょう。


植物を育てる菌根菌の仕組み

菌根菌は、植物の根に共生して栄養供給を助ける微生物です。この菌根菌がいなければ、植物は十分に育つことができません。菌根菌は、植物にとって「外部の胃腸」のような役割を果たし、土壌中のリンや窒素などの栄養素を効率よく吸収する手助けをしています。

さらに、菌根菌は枯葉や植物遺体の分解を促進し、それらを植物が利用できる栄養素に変える重要な役割を果たします。このように、菌根菌は植物の生育だけでなく、土壌全体の健康を支える基盤でもあります。


菌根菌とヒトの間接的なつながり

ヒトが日々口にしている野菜や果物は、すべて菌根菌の助けを借りて育っています。そのため、菌根菌が植物に供給する栄養素が間接的に私たちの健康を支えているのです。

これらの作物には、腸内菌の働きを助ける食物繊維や微量栄養素が豊富に含まれています。つまり、菌根菌が植物を通じてヒトの腸内菌にも影響を与え、健康の基盤を作っているという見方もできます。


進化の過程での共生菌の役割

ヒトの進化の過程では、菌根菌が育てた植物を通じて得られる栄養素が重要な役割を果たしてきました。ヒトは、食物連鎖の中で菌根菌が育む植物を摂取し、その栄養を腸内で活用してきたのです。

特に注目すべきは、ヒトの腸内菌が進化の過程で「共生の相棒」として機能を強化してきた点です。たとえば、腸内菌は食物繊維を発酵させて短鎖脂肪酸を生成し、エネルギー源として提供するだけでなく、免疫調整や病原菌の抑制などの重要な役割を担っています。

また、腸内菌が生成するビタミンB群や必須アミノ酸などの物質は、ヒトの健康を支える生命活動の要です。これらの菌がいなければ、ヒトは膨大な栄養素を外部から取り込む必要がありましたが、共生関係のおかげで効率的な栄養摂取が可能となったのです。


結論

菌根菌と腸内菌は、自然界における見えないネットワークを通じて植物とヒトをつないでいます。この共生の仕組みを理解することは、私たちの健康や未来の農業をより良いものにする第一歩です。

次回は、この共生関係が現代の食事や生活スタイルの変化によってどのように乱されているのかを探ります。

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