共生農業は、従来の農業技術とは異なり、化学肥料や農薬の使用を大幅に削減し、作業時間の軽減も実現する新しい農業技術です。このページでは、イチゴとトマト栽培における共生農業と慣行農業のコストや作業時間の比較を紹介し、その具体的な効果を明らかにします。
共生農業の特徴
共生農業は、針葉樹菌根菌や広葉樹菌根菌といった外生菌根菌を使用し、作物の健全な成長を促進しながら、化学肥料や農薬の使用を大幅に削減します。この技術により、次のような利点が得られます:
- 化学肥料・農薬の削減: 天然の菌が土壌に栄養を供給し、病害虫を防ぐことで、肥料や農薬の使用量を大幅に減らします。
- 作業時間の削減: 追肥や農薬散布の回数が減り、全体の作業時間が大幅に短縮されます。
- 高品質な作物の生産: 共生農業で育てた作物はエグ味がなく、風味豊かで、消費者から高く評価されます。
- 温暖化防止に貢献: 炭素を土壌に固定し、地球温暖化の防止にも寄与します。
イチゴ栽培のコスト・作業時間比較(10a単位)
項目 | 慣行農業(10a) | 共生農業(10a・27回散布、肥料:油粕100kg) | 削減率 |
---|---|---|---|
殺菌剤費用 | 50,000円〜100,000円 | 0円 | 100%削減 |
殺虫剤費用 | 30,000円〜70,000円 | 10,000円〜20,000円 | 約70%削減 |
基肥費用 | 20,000円〜25,000円 | 0円 | 100%削減 |
追肥費用 | 15,000円〜20,000円 | 0円 | 100%削減 |
外生菌根菌資材コスト | 0円 | 3,000円 × 27回 = 81,000円 | – |
肥料コスト(油粕100kg) | 0円 | 5,000円〜10,000円 | – |
合計コスト | 115,000円〜215,000円 | 96,000円〜111,000円 | 約50%削減 |
農薬散布時間(年間) | 70〜100時間 | 20〜30時間 | 約70%削減 |
外生菌根菌資材散布時間(年間) | 0時間 | 27時間(1回あたり約1時間) | – |
合計作業時間 | 70〜100時間 | 47〜57時間 | 約40%削減 |
詳細なポイント:
- コスト削減: 共生農業では、殺菌剤や基肥のコストを完全に削減し、全体のコストを約50%削減しています。
- 作業時間削減: 慣行農業に比べて約40%の作業時間が削減され、効率的な農作業が実現しています。
トマト栽培のコスト・作業時間比較(10a単位)
項目 | 慣行農業(10a) | ACT農業(10a・30回散布) | 削減率 |
---|---|---|---|
殺菌剤費用 | 50,000円〜80,000円 | 0円 | 100%削減 |
殺虫剤費用 | 40,000円〜60,000円 | 20,000円〜30,000円 | 約50%削減 |
基肥費用 | 30,000円〜40,000円 | 0円 | 100%削減 |
追肥費用 | 25,000円〜35,000円 | 0円 | 100%削減 |
外生菌根菌資材コスト | 0円 | 3,000円 × 30回 = 90,000円 | – |
肥料コスト | 30,000円 | 10,000円 | 約66%削減 |
合計コスト | 145,000円〜245,000円 | 120,000円〜130,000円 | 約45%削減 |
農薬散布時間(年間) | 80〜120時間 | 25〜40時間 | 約65%削減 |
外生菌根菌資材散布時間(年間) | 0時間 | 30時間(1回あたり約1時間) | – |
合計作業時間 | 80〜120時間 | 55〜70時間 | 約45%削減 |
詳細なポイント:
- コスト削減: トマト栽培でも、肥料や農薬の使用量を大幅に削減し、全体のコストが約45%削減されます。
- 作業時間削減: 作業時間も大幅に削減され、トマトの栽培効率が向上します。
導入事例のリンク
共生農業の具体的な栽培事例について詳しく知りたい方は、以下のリンクをご参照ください。
共生農業は、自然に根ざした持続可能な農業技術を通じて、コスト削減と品質向上を同時に実現することができます。