ACT農法で植物が高温・乾燥に強くなる理由:環境ストレスを和らげる菌根菌の力

現代の農業において、気候変動による高温や乾燥などの環境ストレスが大きな問題となっています。しかし、私たちが試験を行ったACT農法では、作物が高温や乾燥といった厳しい条件でも健康に育つことが確認されました。その秘密は、マツタケや白トリュフ等の外生菌根菌(きんこんきん)と植物が共生することで得られる、環境ストレスに対する耐性です。このコラムでは、その理由をわかりやすく解説します。

1. ACT農法の実験結果:高温・乾燥にも強い植物
沖縄の今年の気候は、5月末から1ヶ月間続いた雨と、その後2ヶ月ほぼ雨が降らないという極端なものでした。このような状況では、通常の農法では多くの作物が枯れてしまいます。しかし、ACT農法で栽培されたナスやピーマン、バナナ、紅芋、パパイヤ、モリンガなどは、ほとんど水やりをしなくても元気に成長し続けました。

一方で、トマトは乾燥に耐えきれずに枯れてしまったものもありましたが、それでも一部の品種は健康に育ち続けました。このことから、ACT農法による作物が高温や乾燥に強いという結果が確認されました。

2. 菌根菌と植物の共生:環境ストレス耐性の仕組み
このACT農法で鍵となるのはマツタケや白トリュフ等の外生菌根菌です。これらの菌根菌は、植物の根と共生する土壌の微生物であり、植物にさまざまなメリットをもたらします。その主な役割は、植物の根と菌根菌が協力して土壌から水分や栄養素を効率よく吸収することです。

では、菌根菌がどのように植物の高温や乾燥への耐性を高めるのでしょうか?以下のような理由があります。

3. 菌根菌の助けで水分吸収が効率化
菌根菌は、植物の根の表面に存在し、根と土壌をつなぐように働きます。菌根菌は非常に細かい糸のような構造を持っており、植物の根よりもさらに細かい土壌の隙間から水分や栄養素を取り込む能力が高いのです。このため、植物は通常の根だけで水を吸うよりも、菌根菌の助けを借りることでより多くの水分を効率よく吸収することができます。

例えば、乾燥している環境でも、菌根菌は深い土壌層からわずかな水分を探し出し、植物に供給することができます。この仕組みによって、植物は水不足の環境でも枯れずに耐えることができるのです。

4. 栄養素の吸収も強化
菌根菌は水分だけでなく、窒素やリンといった重要な栄養素も効率よく吸収します。特に乾燥が続くと、植物は栄養素の吸収が難しくなりますが、菌根菌との共生によって、栄養不足に陥ることが少なくなります。ACT農法では、窒素肥料を一切使用しない状況でも作物が健康に育つのは、この菌根菌が栄養吸収を助けているからです。

5. 高温にも耐える植物に
高温環境では、植物は水分の蒸散を減らすために葉の気孔を閉じることが多いですが、これにより光合成が制限され、成長が鈍化するリスクがあります。しかし、菌根菌が十分な水分を供給することで、植物は気孔を開いたまま光合成を続けることができ、高温環境でも成長を続けることができます。これが、ACT農法で栽培された作物が高温に対しても強くなる理由の一つです。

6. 環境ストレスに強い農業を実現するACT農法
このように、菌根菌との共生によって、植物は水分や栄養の吸収能力を大幅に向上させ、乾燥や高温といった環境ストレスに対して強くなります。ACT農法は、植物が自然の力を最大限に活用して、厳しい気候条件でも健康に育つことを可能にします。


このように、ACT農法では、菌根菌の力を利用して、作物が高温や乾燥などの厳しい環境条件でも成長できる仕組みを提供します。気候変動による環境ストレスが深刻化する中、この農法は未来の農業にとって欠かせない解決策となるでしょう。農家の皆さんも、ぜひACT農法を導入して、持続可能で強い作物栽培を実現してみませんか?

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