コラム『自然+α』Ⅰ-③

農業

第三話:植物と菌根菌の共生が未来の農業を救う

これまでのコラムでは、植物と菌根菌の共生が失われたことで、現代農業が直面している課題についてお話ししました。今回は、こうした課題を解決する鍵となる「共生農業」の可能性について、さらに掘り下げてお伝えします。


植物と菌根菌の共生とは?

植物は動けない存在です。そのため、土壌から必要な栄養素や水を効率的に吸収するために、菌根菌という微生物と共生する進化を遂げてきました。
菌根菌は、植物の根と一体化して「菌根」と呼ばれるネットワークを形成します。このネットワークを通じて、菌根菌は土壌中の栄養素(特にリン酸や微量元素)を植物に供給し、植物は光合成で得た糖分を菌根菌に提供します。
このウィンウィンの関係が、数億年にわたり植物と菌根菌を支えてきたのです。


現代農業が壊した共生のネットワーク

しかし、現代農業では、土壌を耕す「耕うん」や、病害菌を駆除するための「土壌消毒」などの技術が一般的に用いられています。
これらの技術は、短期的には作物の収量を上げる効果がありますが、長期的には以下の問題を引き起こします:

  1. 菌根菌ネットワークの破壊
    耕うんや土壌消毒により、土壌中の有益な菌根菌が破壊されます。これにより、植物が土壌から栄養を効率的に吸収できなくなります。
  2. 化学肥料や農薬への依存
    菌根菌を失った植物は、化学肥料や農薬に頼らざるを得なくなります。しかし、これらは土壌や環境への負担を増大させます。
  3. 生物多様性の喪失
    土壌中の微生物が減少すると、生物多様性全体が損なわれ、土壌の健康がさらに悪化します。

共生農業がもたらす未来

共生農業は、植物と菌根菌の自然な関係を再現する農業方法です。この方法では、以下のような取り組みが行われます:

  • 有機物の投入
    間伐材粉砕物や植物遺体を土壌に投入し、菌根菌や白色木材腐朽菌の力で分解。土壌に腐植を形成し、栄養循環を促進します。
  • 化学肥料・農薬の削減
    菌根菌の働きで植物の栄養吸収が効率化されるため、化学肥料や農薬の使用を大幅に減らすことができます。
  • 生物多様性の回復
    健全な土壌は、多様な微生物や生物を育み、生態系全体を豊かにします。

ACT農法:共生農業の実現に向けた一歩

合同会社アクトでは、共生農業の理念を実現するために「ACT農法」を提案しています。ACT農法では、次のような特徴があります:

  1. 菌根菌の活用
    白トリュフ菌やマツタケ菌などの外生菌根菌を使用し、植物の栄養吸収を自然の力でサポートします。
  2. 短期間での土壌回復
    土壌殺菌によって壊された生態系を、半年から1年の短期間で復活させる技術を採用。
  3. 持続可能な農業
    化学肥料や農薬に頼らない栽培方法を実現し、環境への負担を軽減します。

共生農業が農業と地球を救う理由

菌根菌との共生を取り戻すことは、農業だけでなく地球全体の健康にも影響を及ぼします。健全な土壌は、二酸化炭素を吸収する「炭素貯蔵庫」としても機能し、地球温暖化の抑制に貢献します。
また、化学肥料や農薬の使用を削減することで、水質汚染や土壌劣化などの環境問題も軽減されます。


未来を変える選択を、今から始めましょう

植物と菌根菌の共生を取り戻すことは、持続可能な農業と地球環境の保全への第一歩です。ACT農法を通じて、自然と調和した未来を一緒に築きましょう。

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