コラム『自然+α』Ⅰ-②

農業

第二話:動けなくなった植物が現代農業で直面している課題

動けない植物にとって、土壌と菌根菌のネットワークは命綱です。進化の歴史をたどると、植物は、菌根菌の存在を前提に進化したといっても過言ではないからです。しかし、現代農業の技術がこのネットワークを壊してしまった結果、植物はさまざまな問題に直面しています。今回は、その実態を見ていきましょう。


耕うんが壊す土壌のバランス

現代農業では、土を機械で耕す「耕うん」が一般的に行われています。この作業により、土壌の中に張り巡らされた菌根菌のネットワークが破壊されてしまいます。これにより、植物が土壌から栄養を吸収する能力が低下します。


土壌消毒が菌根菌を死滅させる

また、病害菌を防ぐために行われる化学的な土壌消毒は、有益な菌根菌も同時に死滅させてしまいます。結果として、植物は栄養を供給してくれるパートナーを失い、ますます化学肥料に頼らざるを得なくなります。


化学肥料や農薬への依存

菌根菌の助けを失った植物は、化学肥料や農薬に依存する形で栽培されます。しかし、この方法には以下の問題があります:

  • 連作障害:土壌の栄養バランスが崩れ、病害菌が増加する。
  • 環境耐性の弱化:高温や乾燥に弱い作物が増える。
  • コスト増加:農薬や肥料の費用がかさむ。

では、どうするべきか?

こうした問題を解決するためには、植物の進化の歴史に立ち返り、菌根菌との共生関係を再現する農業への転換が必要です。次回は、この「共生農業」がどのように未来を救うのかをお話しします。

農業
actyomitanのインスタグラムに最新情報を掲載しております。フォローお願いします。

コメント